価格に見合ったおしゃれなカフェの外観づくり
カフェを出店する際におしゃれな外観を追求しすぎて、予算が大幅にオーバーしてしまったという話を聞いたことはないでしょうか。
たとえ予算がオーバーしたとしても大丈夫。お店をオープンした後すぐに売上を上げることができれば問題ありません。けれども、カフェは投資費用を回収しづらい業種です。外観に必要以上に費用をかけてしまうと、オープン後思うように稼げず苦戦するかもしれません。
かといって、外観が薄っぺらいと集客に影響します。内装とのギャップが生まれる可能性もあります。
それでは、どのようにおしゃれなカフェの外観を追求したらよいのでしょうか。
本記事では、価格に見合ったおしゃれなカフェの外観を作りたいという人向けに、3つの解決策を提案します。
目次
1.カフェは売上を上げにくい業種
「出店するカフェはおしゃれな外観にこだわりたい」というふうに、多くのオーナーは考えるのではないでしょうか。
けれども、頭に描いているカフェを実現させることにこだわりすぎると、簡単に予算をオーバーしてしまいます。経験則ですが、ほとんどのケースがこれに当てはまります。
「オーバーした分はオープンしてから回収すればいい」と考えるかもしれません。けれども、カフェの売上は、予想しているよりも上げにくいというのが現状です。
1-1.利益を出す要素
カフェにおいて利益を生み出す要素は、
- 座席数
- 単価
- 回転数
の3つ。
売上を上げるには、「席数を増やす」または「単価を上げる」かの2択です。
単価が平均よりもやや高く、かつ回転率の高いカフェなら問題ありません。しかし、近隣と同じ価格で売るという場合は、思うように費用を回収できず苦労することになるでしょう。
1-2.小さなお店の場合
特に小さなスペースで座席数が制限されてしまう個人経営のカフェは、「単価を上げる」方法のみで勝負する必要が出てきます。
そうすると、小さなカフェにとって、お店の認知度を広めながら客単価を上げる工夫をして徐々にリピーターを獲得することが、無理のない売上の上げ方です。
つまり、小さなカフェは短期間で一気にもうけられるような業態ではありません。最初の頃は月に30万円ほどの売上と考えるのが無難でしょう。
売上に過度に期待して初期費用にお金をつぎ込んでしまうと、費用を回収する前にお店を閉めなくてはならないリスクが高まります。「外観を含めた初期費用は、できるだけ予算内で済ませるようにすることが大切」と言う理由は、ここにあります。
それでは、具体的にどうやって価格に見合ったおしゃれな外観づくりをすべきか?
次の章から解決策をご紹介します。
2.解決策①:おしゃれにデザインするポイントを外観または内装のどちらに置くか決める
デザインする前に、内装と外装のどちらにポイントを置くかを決めましょう。そうすることで、極端にチープな外装/内装になるということを避けられます。
どちらにポイントを置くべきかについては、出店するカフェの内容やオーナーの考え方によって異なります。
以下に外観/内装にポイントを置くメリットとデメリットについて説明します。参考にしてください。
2-1.外観にポイントを置くことによるメリット・デメリット
外観にポイントを置くことは、お店のこだわりや個性を外側に発信することにつながります。
例えば、道路を歩いている人が‥
「このお店は何か違うものを持っている」
と思うだけでも、外観としての目的を果たしていると言えるでしょう。
お店の世界観や大切にしていることを伝えます。さらに、
「自分の好きな雰囲気と合うお店なのだろうか」
といった疑問に答える外観づくりが可能です。
外観にポイントを置くことによるデメリットは、内装よりもデザインにおいて費用がかかるという点。
外観で使う材料(使える材料)には、内装よりも強度や劣化に対する対策がされているものがほとんどです。そのため、外観をおしゃれにしたいと思い、デザインをすればするほど、それを表現するために使う材料にお金がかかります。
また、雨水対策の細かな工事も必要です。
費用をかけてでもお店のブランディングに力を入れたい人は、外観にポイントを置くことをおすすめします。
また、外観だけおしゃれにすればいいと考えている人よりも、
「外観も内装も含めてお店を作り込むことが、価値を高めることにつながる」
と思っている人に向いています。
2-2.内装にポイントを置くことによるメリット・デメリット
内装にポイントを置くことで、外観にお金をかけない分、内装のデザインによる雰囲気の作り込みに予算を集中できます。
すまり、内装に費用をかけられるということです。
居心地の良さやオーナーのこだわりを追求しやすいのです。
他のお店にはない“らしさ”(独自性)が出るような空間づくりが期待できるでしょう。
カフェにとって独自性のある内装はメリットです。
しかし、その独自性を出すことに失敗すると、デメリットに変わるリスクがある点に注意が必要です。
また、外観のデザインに力を入れないため、内装が他店と似たようなデザインの場合は、お客さんを獲得することが難しくなります。お店の世界観を内装に落とし込むことはハードルが高いです。一歩間違えると安っぽい印象になるリスクがあります。デメリットとして忘れないようにしましょう。
内装にポイントを置くのは、空中階やエントランスの工事ができない物件に適しています。また、独立したばかりで予算に限りがある人にも向いています。
3.解決策②:外観だけおしゃれに作り込んだ小さなお店にする
価格に見合ったおしゃれな外観を作る場合は、内装にコストをかける必要のないお店にするという方法があります。
それは、コーヒースタンドのような小さなお店です。
お客さんはコーヒーを購入した時点でお店を後にします。また、滞在するとしても立ち話程度の時間で済むでしょう。この形態のカフェなら、お客さんにくつろいでもらうことを考えるべきではありません。
その結果、内装にかける費用を外観に回すことができます。
コーヒースタンドのような小さなカフェには、回転率を上げやすいという特徴もあります。外観を作り込めるうえコストを抑えて売上を上げやすいことから、この形態のカフェは増加傾向にあります。
4.解決策③:おしゃれなカフェの外観を作りやすい物件を選ぶ
外観にポイントを置いたカフェを作るなら、外観を作り込みやすい物件を選ぶようにしましょう。外観を作り込みにくい物件を選ぶと、外観用のスペースを確保する必要があります。そのための工事など余計にコストがかかるおそれがあります。
外観を作りにくい物件とは、空中階など外観を作り込むのに十分なスペースがない物件のことです。反対に、1階にある物件や道路に面した物件は、外観を作りやすい物件にあたります。ただし、空中階でも外階段で直接店舗につながっている物件は、おしゃれな外観づくりに向いています。
集客のしやすさを考えた場合、空中階よりも路面にある物件がおすすめです。
「ちょっと一息…」
といってお客さんが立ち寄りやすいのは、路面にあるカフェというのがその理由です。
「一息入れて美味しいコーヒーが飲めればいい」
と考えているお客さんにとって、外から店内が見える・見えないというよりも、立地により魅力を感じるでしょう。この点から、店内に誘導できるような外観を作り込みやすい、道に面した物件を選ぶことは理にかなっています。
5.どちらもチープにならないような、バランスの取り方
「おしゃれな外観を作りたい。でも、内装も諦めたくない」。
そういう場合は、どちらもチープにならないようバランスのとれたデザインを考えることが必要です。
おしゃれなカフェの外観というと、見た目の良さを追求してしまいがちです。しかし、そうすると、“お店にとって大切なこと”から大きくかけ離れてしまいます。その“お店にとって大切なこと”とは何でしょうか。
5-1.お店にとって大切なこと
それは、お店のコンセプトや来てほしいお客さんのことです。
独自性を出すことに集中すると、どうしてもオーナーの主観が入ってしまいます。その度合が強くなると、お店のコンセプトや「お客さんにとってどうなのか」といった視点から遠ざかってしまいます。
頭の中にある理想のカフェをデザインに落とし込もうとすると、
「ここをもう少し変えたい」
「もう少し高価な材質を使いたい」
というふうに、際限なく突き進んでしまうでしょう。それは、コンセプトからかい離するだけでなく、初期費用の増大にもつながります。
5-2.独りよがりなデザイン
チープな印象のカフェにならないようにするには、デザインする前にコンセプトをしっかりと決めることが大切です。
コンセプト作りについては、「店舗のコンセプトを決める正しい方法と知識」の記事を参考にしてください。
ここからブレないように気をつけましょう。
こだわりすぎていると感じた時は、
「おしゃれさは誰のためだろうか」
ということを自問自答しながら、決めていくことが大切です。
具体的なデザインの段階に入ったら、デザイン設計会社など専門家に相談しましょう。専門家は、客観的な立ち位置で費用・お店のコンセプト・外装と内装のバランスを考慮しながら、設計することを専門としていますので、安心して任せられるでしょう。
6.まとめ
価格に見合ったおしゃれなカフェの外観を作るコツについて説明しました。
解決策として提案したのは、以下の3つでした。
- おしゃれにデザインするポイントを外観または内装のどちらに置くか決める
- 外観だけおしゃれに作り込んだ小さなお店にする
- おしゃれな外観を作りやすい物件を選ぶ
外装または内装にポイントを置くにしても、外装と内装とのバランスをとるにしても、大切なのはお店のコンセプトからブレないことです。費用や見た目のデザイン性ばかりに目を向けていませんか?そのまま作業を進めると、商品単価やお店のコンセプトに合わない方向に進みがちです。
費用の心配もわかります。
しかし、柱となる事業戦略を固め、その方針に沿ったコストのかけ方を工夫します。価格に見合ったおしゃれなカフェの外装づくりにつながります。
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