人気の飲食店は物件選びや内装もすごい!飲食店舗の開業マニュアル
飲食店の経営において重要なポイントの一つが内装です。なぜなら、どのような内装にするのかによって、お店のスタイルやコンセプトがお客様に伝わるかどうかが変わってくるからです。とは言うものの、どういった内装が適しているのかということや、そのために費用がいくらかかるのかということは、業種や店舗の広さによって異なります。コンセプト通りで効果的な内装を実現するためには、内装工事全般についてしっかりと把握しておくことが大切だと言えるでしょう。そこで今回は、内装工事の概要やかかる費用、内装工事業者の選び方、内装工事の流れなどについて詳しく解説します。
飲食店を開業するために必要とされている準備や心構え、開業までのスケジュール、集客のコツなどについて重要なポイントをしっかりと押さえる為、「飲食店を開業するには?必要な準備と成功のポイントまとめ」もじっくり読んで、飲食店をスムーズに開業させましょう。
目次
1.そもそも内装工事ってどんな作業?
内装工事とは、建物内部の工事全般を指します。具体的に項目をあげて解説しましょう。
1-1.下地工事
床や壁、天井の下地を造る工事代金が含まれます。床の場合は、木材やモルタルで造る下地の工事です。壁の場合は、LGSやPB貼り工事が含まれます。
1-2.内装仕上げ工事
フローリングなどの床張りや壁紙の貼り付け、天井部の塗装といった表層部分の工事が内装仕上げ工事に含まれます。
1-3.設備工事
また、厨房工事も内装工事のなかに含まれますので、場合によっては電気や水道、ガスといった設備工事の必要もあるかもしれません。内装工事の計画を立てる際に注意するべきポイントは、内装工事と建築工事は別だということです。
建築工事は建物をゼロから作ることですが、内装工事はすでに建てられている建物の内装を作り変えることを指します。具体的には、店舗のインターフェースは建築工事にあたり、店内のインテリアデザインは内装工事にあたります。資金計画を立てる際には、両者を混同してしまわないよう注意しましょう。
2.飲食店の成功を左右する!?内装工事の重要性
内装工事の出来次第で、飲食店が成功するかどうかが決まると言っても過言ではありません。
内装デザインが開業後の売上げに関わる理由としては、それによって店舗のコンセプトがお客様にどう伝わるかが決まるということが挙げられます。居心地の良い店になるのかどうかは、内装工事の出来次第と言えるでしょう。
また、どのような厨房設備を使用するのかということも、あらかじめ内装工事の段階で決めておく必要があります。ということは、どのようなメニューを提供できるのかということも、内装工事の段階で必然的に決まってきます。
そのほか、内装デザインは店舗内で働くスタッフの動線にも大きな影響を与えます。スムーズな業務のためにも内装工事をおざなりにすることはできません。そして大事なポイントは、内装工事というのは失敗してしまったことに後から気づいてもやり直しが難しいということです。だからこそ、内装工事のデザインや設計についてはあらかじめ綿密に考えておきましょう。
3.飲食店オーナー必見!計画段階における3大ポイント
内装工事の計画を立てるにおいて、とりわけ重要なポイントとなるのはデザイン、業者選び、予算の3つです。
この3つのポイントをしっかりと把握し、破綻のない計画を立てることが大切です。そこで、この3つのポイントそれぞれをどう計画していけば良いのか、以下で詳しく見ていきましょう。
3-1.お店の方向性を決める!?内装デザインは慎重に考えよう
どのような内装デザインなのかということは、お店の雰囲気を決める重要な要素の一つです。なぜなら、内装デザインはお客様にとって第一印象となる部分だからです。お客様に悪い印象を与えるようなデザインではいけないのはもちろんのこと、なんの印象も持たれないようなデザインでは、なかなかリピーター客を獲得できずに客足が遠のいてしまいます。デザインを考える場合には、どのようなデザインにすればお客様に好印象を与え、かつ居心地良く感じてもらえるのかということをしっかりと考えましょう。
3-1-1.飲食店の客層やコンセプトに合わせる
まず考えるべきはお店のコンセプトです。お客様に伝えたいメッセージとなるお店のコンセプトはなんなのかをよく考えましょう。しっかりとしたコンセプトが打ち出されている店舗であればあるほど、お客様に強い印象を与えることができます。
まずコンセプトがあって、そのための適切なデザインがあります。たとえば、にぎやかな雰囲気のお店にしたいのか、あるいは落ち着いた雰囲気のお店にしたいのかによっても、適したデザインは異なるでしょう。そのほか、コンセプトと同じくらい重要なポイントは、どのような客層をターゲットにしたいかということです。どれだけ明確なコンセプトを考えても、そのことで独りよがりなデザインになってしまっては意味がありません。コンセプトはお客様に好意的に伝わってこそ意味があるのです。だからこそ、自分の思いだけでなくどのようにすればお客様に居心地良いと感じてもらえるかといった顧客目線に気を配ることも重要なポイントなのです。
具体的なコンセプトづくりを知りたい方は、「店舗のコンセプトを決める正しい方法と知識」を参考にして頂きたい。最後まで読んで頂ければ、中身のある具体的なコンセプト計画が可能となります。理解を深めて考えたコンセプトは、サービスとコンセプトのギャップが無く、お客様に伝わりやすい言葉となります。
3-1-2.色の視覚効果を利用する
内装デザインを考える際には、色彩効果も考慮しましょう。色彩はその空間にいる人の心と身体に大きな影響を与えることで知られています。とりわけ有名なのが、食欲と色彩の間における相関関係です。赤やオレンジのような暖色系は、青や緑のような寒色系よりも食欲を増進させる効果があると言われています。
暖色系のイメージ
寒色系のイメージ
また、日本では古くから木材で家を建ててきたため、日本人は木の色に強い愛着を持っているとも言われています。コンクリートの打ちっぱなしの壁やガラスの壁などはクールでかっこいい印象を与えることができますが、一方でお客様が長居しづらい雰囲気になってしまう可能性があることも忘れてはいけません。
木の色のイメージ
コンクリートのイメージ
3-2.誰に任せるかも大事!自分に合った請負業者を選ぼう
内装工事を成功させるためには、誰に工事を任せるかということも大切です。一口に内装工事と言っても、実際の現場では数十社のプロフェッショナルの業者が関わってくるからです。そのため、内装工事を成功させるためには、設計の段階から豊富なノウハウを持っているデザインのプロに頼むのがおすすめです。ただし、そのような請負業者にもいくつか種類があり、それぞれメリットとデメリットがあります。その違いについて詳しく解説しましょう。
3-2-1.施工会社
施行会社は内装工事の施工や施工監理を主に請け負う会社です。
一般的に施工会社では自社で内装のデザイン設計を行わず、現場の職人の手配や指揮・管理をします。施行会社を利用するメリットは、職人に直接依頼するために費用が抑えられるということです。とりわけ、居抜き物件ですでにある内装をそのまま流用するような場合には施行会社に依頼したほうがより早く、より安く工事を終えることができるでしょう。そのほか、自分で内装デザインができる場合にも施工会社にだけ依頼するのがおすすめです。一方で、施工会社のデメリットはデザイン面での弱さです。施工会社でありながらデザインを請け負ってくれる会社もありますが、質の面では設計デザイン会社よりも劣ると言わざるを得ません。スケルトン物件などでデザイン設計と施工の両方が必要な場合には、自分で施行会社と設計デザイン会社にそれぞれ依頼するか、あるいは両方請け負ってくれる設計施工会社に依頼するほうが良いでしょう。また、施工会社とデザイン設計会社は互いに深く付き合いのある場合も多いので、どちらかを先に選ぶと紹介という形でほぼ自動的に決まることもあります。
◎メリット
・施工費用が抑えられる
◎デメリット
・自分でデザインする必要がある
・デザイン面での弱さ
3-2-2.設計施工会社
設計施工会社はデザイン設計から施工まですべてを請け負っている会社です。
最初から最後まで、自社内で内装工事の工程を管理するため、契約から工事完了までのスピードが早いのが特徴です。また、依頼する側としても1社に依頼するだけですので、予算のすり合わせや打ち合わせの回数といった手間を減らすことができます。そのほか、デザイナーと職人が同じ会社のため、意思疎通が図りやすいのも大きなメリットです。急な修正作業が必要となった場合にも、迅速に対応してもらうことができるでしょう。ただし、デメリットとしては、会社によってはデザインを外注する仕組みになっているため、対応できるデザインが限られている可能性があるということが挙げられます。規定のフォーマットからしかデザインを選べないケースも多いので、内装で個性を演出したいという人にはあまり向いていないかもしれません。また、設計施工会社に依頼する場合には、施工会社とデザイン設計会社それぞれ個別に依頼する場合よりも費用が高くつくこともあるので注意が必要です。依頼する場合にはプロの意見や以前働いたことがある人の意見を聞くなど、前もって信用できる会社かどうかを調べておきましょう。
◎メリット
・工事完了までのスピードが早い
・デザイナーと職人の意思疎通が図りやすい
◎デメリット
・対応できるデザインが限られている
・デザイン性が高い内装を演出しづらい
・工事金額が比較出来ない
・施工会社とデザイン設計会社それぞれ個別に依頼する場合よりも費用が高くつくこともある
3-2-3.設計デザイン会社
設計デザイン会社は店舗の設計やデザインを専門に扱っている会社です。
デザイン会社のメリットは、プロのデザイナーに設計してもらえるので、ブランディングや動線も考慮したクオリティの高いデザインをしてもらえることが挙げられます。また、デザインと施工とを分けることで、監理と施工の役割分担がはっきりすることも大きなメリットと言えるでしょう。デザインと施工を分けるとその分費用が高くつくのではないかと心配する人も多いかもしれませんが、実際には見積書が1枚になるか2枚になるかの違いだけで、全体的な費用はそれほど変わらないことが多いです。一方で、設計デザイン会社のデメリットは、デザイン完成後に施工会社に見積もりを取ることになるため、内装完成まで時間がかかってしまうことです。設計と施工を別々に依頼する場合には、ある程度時間の余裕を持つことが大切です。また、設計デザイン会社に依頼すると、デザインにこだわりすぎるがゆえに予算をオーバーしてしまうこともありがちなので注意が必要です。
◎メリット
・ブランディングや動線も考慮したクオリティの高いデザインをしてもらえる
・設計と施工を分ける事で、役割分担がはっきりする
・設計施工会社の費用と、設計と施工を合算した金額を比べるとさほど変わらないでクオリティの高いデザインをしてもらえる
◎デメリット
・内装完成まで時間がかかってしまう
・デザイナーによって設計デザイン料が違う為、予算をオーバーしてしまう事もある
3-3.内装工事費はどれくらいかかる?必要な予算を把握しよう
開業資金のなかでも、およそ50%は内装工事費がその割合を占めると言われています。この内装工事費にはさまざまな項目があり、どのような項目があって、その相場はいくらくらいなのかということを知っておくことが、予算を組む際の重要なポイントとなるでしょう。そこで、以下それぞれの項目について詳しく解説します。
3-3-1.設備工事費
設備工事費は、電気や空調といった設備に関する費用です。特に、飲食店のように大量の電気容量が必要な業種の場合には、まず物件選びの段階で電気容量を確認しておくことが大切です。もしも容量が足りない場合には、建物自体の電気容量を変える工事が必要となり、それだけで200万円程度かかることもあります。照明工事だけの場合には照明器具1灯につきおよそ1万円弱です。高能率や高照度の蛍光灯だったりマルチハロゲン系の器具だったりした場合は1灯あたり3~5万円が相場になります。取り付け作業はおよそ6,000円~1万円が相場です。冷房や暖房といった空調工事は10坪の店舗に対して2馬力必要となり、50~60万円がその相場価格です。そのため、1坪あたり5~6万円かかると考えておくと良いでしょう。そのほか、換気工事やダクト工事が必要な場合にはさらに費用がかかることもあります。
3-3-2.内装工事費
内装工事費は、室内の仕上げや下地のためにかかる費用です。床や壁、天井といった物件の状態によってかかる費用は大きく異なります。仕上げ工事は壁や天井にクロスを貼る場合に坪単価約6,000円、床にビニールタイルを貼る場合には坪単価約1~2万円あれば不足することはありません。つまり、下地からではなく表面の簡単な仕上げだけをするのなら内装工事費はそれほど費用がかからないということです。一方で、スケルトン物件などで一から天井や壁を造らなければならない場合には、坪当たりおよそ1万円程度の費用がかかります。そのほか、床部分にモルタルのような下地工事が必要である場合には費用が坪あたり2万円程度になることを見込んでおきましょう。
3-3-3.什器・備品購入費
什器や備品には椅子や机はもちろんのこと、レジスターや音響機器、スタッフのユニフォーム、メニューブックなどさまざまなものがあります。これらを新品で揃えるか、中古を利用するかといったことで価格は大きく異なるでしょう。おおよその相場価格は全体で数十万円程度になりますが、実際にどのような什器や備品が必要かは、開業してはじめて気づくことも多いです。そのため、什器・備品の購入費用はあらかじめ想定よりも少し多めに見てきましょう。
3-3-4.厨房設備
飲食店の内装工事の特徴は、厨房設備費にお金がかかるということです。厨房設備費が内装工事費のおよそ半分か、場合によってはそれ以上になるでしょう。厨房設備のための費用は、どのようなメニューを提供するかによって大きく変わります。小規模なバーの場合にはそれほど厨房設備はかかりませんので数十万で済みますが、本格的な料理を提供する大規模なレストランの場合には数百万円用意する必要があるでしょう。厨房設備を少しでも安く抑えたいという人は、中古で揃えるか、あるいはリースで厨房設備を揃えるのがおすすめです。ただし、気をつけなければならないポイントとして、中古で揃える場合には必ず保障期間を確認すること、リースの場合には長期間利用すると最終的には購入するよりも高くつくことになるということが挙げられます。また、あらかじめ厨房設備が整っている居抜き物件を探すのも、安く抑えるための方法の一つです。しかし、そのような物件は前の使用者が一体どのような理由で撤退したのかをあらかじめ調査しておきましょう。
3-3-5.敷金・家賃など
物件取得のための費用は、開業資金のなかでも大きな割合を示す項目です。家賃の相場はその物件の所在地や広さによっても変わりますので、一概にいくらとは言えません。また、道路に面しているのか、ビルの2階より上にあるのかによっても価格は大きく変わります。敷金(保証金)は一般的な住居用物件とは異なり、多くの場合家賃の10カ月分が相場です。そのため、月々の家賃が20万円の物件であれば敷金(保証金)は200万円程度用意しておきましょう。また、厨房設備購入費を安く抑えるために居抜き物件を選ぶ場合には、前の借主に譲渡金を支払う必要があることを忘れてはいけません。
4.お店によって違う!?内装工事の費用相場を知ろう
内装工事費用のおおよその目安は、デザイン設計の相場が35〜70万円、設計管理の相場が25〜50万円、内装工事の相場が50〜150万円、厨房工事費が30〜300万円です。デザイン設計や内装工事の費用そのものは、どのような業種であれ大きな変わりはありません。しかし、どのような厨房設備を揃えるのか、物件がどれくらいの広さなのかということによって、全体の費用に大きな違いが出てきます。
4-1.店舗タイプによる違い
内装工事のなかでも、業種によって費用に大きな違いが現れるのが厨房設備です。どのようなメニューを提供するのかによって必要となる厨房器具は変わってきますし、そのための工事の是非も変わります。そこで、どの店舗タイプであればどれくらいの費用になるのか、詳しく解説しましょう。
4-1-1.レストラン
レストランの場合、利益を上げるためにはある程度の広さと本格的な厨房機器を用意する必要があります。たとえば、イタリアンレストランだとピザ釜のように特別なメニューのための大掛かりな厨房機器を用意したり、そのためのスペースや設備を準備したりしなければならないこともあるでしょう。そうすると、厨房設備費用だけで数百万かかる場合もあります。また、店内を洋風の雰囲気に演出したい場合には、照明などにもそれなりにこだわることになるかもしれません。そうすると、他の店舗よりも内装工事費を少し多めに見積もっておく必要があるでしょう。広さがある場合には、働くスタッフの動線にも気を配ることが大切です。10坪のスケルトン物件でイタリアンレストランを開業する場合だと、おおよその相場価格としては内装工事費が約120万円、電気やガスなどの設備工事費が約90万円になります。それに加えて空調設備代がおよそ50万円、什器費用が15万円ほどとなるでしょう。そして、厨房設備費が約160万円になります。レストランは飲食店のなかでも内装工事の費用が高くつく場合が多いからこそ、開店してからのスタートアップでいかに順調な売り上げを上げるかが成功のためのキーポイントとなります。
4-1-2.バー
バーやバルの場合にはそれほどの面積も必要ありませんし、また食事メニューも少なくて済むので、本格的な厨房機器を用意する必要もないでしょう。そのため、設備費用や厨房工事費用はほかの飲食店の業種と比較すると安く抑えられる場合が多いです。費用の目安は、15坪のスケルトン物件でカウンターバーを開業する場合、設備工事費が約90万円、空調設備は50万円ほどになるでしょう。厨房設備としては冷凍冷蔵庫が35〜65万円、製氷機が30〜60万円になります。また、シンクが18〜40万円です。一方、多くのバーでは店内の雰囲気作りにこだわっているお店が多いのが特徴です。とりわけバーの場合には、シックでラグジュアリーな雰囲気を演出することが大切になるでしょう。そのために壁や床の材質、照明設備を高級なものにすると、それだけ内装工事費用は高くなります。また、音響設備もバーの雰囲気作りのための重要なポイントです。内装のなかのどこにこだわるのか、優先順位をはっきりさせましょう。雰囲気作りにこだわるのなら、内装工事費は坪単価およそ50〜60万円あたりが相場です。
4-1-3.カフェ
カフェの場合には、レストランほどの本格的な調理器具を揃える必要はなく、バーほど雰囲気にこだわる必要はないものの、ある程度の調理器具と雰囲気作りをしておく必要があります。とりわけ若者や女性客の多いカフェは、小物を上手に使った雰囲気作りがポイントになるでしょう。一方で、ただおしゃれなだけのカフェはありふれているので、よりコンセプトを明確化して押し出すことが大切です。いかにして商品提供以外の付加価値をお客様にアピールできるかが、成功のためのポイントとなるでしょう。たとえば15坪の居抜き物件の場合、塗装工事や床の張替え工事などでおよそ100万、その他の内装工事で75万円ほどが相場となります。それらに加えてシンクや冷蔵庫、エスプレッソマシンなど、必要な厨房器具を揃える必要があるでしょう。全体の費用はどれくらい本格的な料理を提供するのか、どれくらい雰囲気作りにこだわるのかによっても異なりますが、およそ坪単価20万~40万円ほどが相場と言われています。内装工事費用を抑えるために居抜き物件を探す場合には、契約前にしっかり内見を行って内装の劣化具合を確認することが大切です。なにも問題なければその分工事費用を節約することができますが、もしも天井や壁、床になにか問題があった場合には、結局解体工事を行わなければならなくなり、逆に費用が高くついてしまったりすることもあるからです。
4-2.物件の種類による違い
内装工事費は、その物件が新築(スケルトン物件)なのか、あるいは居抜き物件なのかによっても大きく異なります。どちらの物件にもそれぞれメリットとデメリットがありますので、よく把握したうえで選ぶことが大切です。
4-2-1.スケルトン物件(新築物件)
スケルトン物件は新築など骨格状態の物件のことで、内装工事などがされていない状態です。スケルトン物件の大きなメリットは、制約が少ない分思い通りのデザインを実現できるということでしょう。設備や内装、レイアウトにこだわったお店にしたいという人におすすめです。とりわけ比較的新しいビルの場合には、最初からダクトなどの設備が整っていることもあります。一方でデメリットとして挙げられるのは、一から作り上げていくため工事の費用がかさむということです。場合によっては電気・ガス・水道・空調・排気設備も自前で用意しなければならないでしょう。その分の工事費用も別途かかりますし、工事しなければならない項目が多いのでオープンまでに時間もかかります。スケルトン物件を探す際には、どれくらいの設備が整っているのか、開業のためにどのような工事が必要なのかをあらかじめ確認しておくことが大切です。また、解約時に原状回復しなければならない場合には、それだけ費用がかかるということも忘れてはならないポイントです。
4-2-2.リフォーム物件(居抜き物件)
リフォーム物件は居抜き物件とも言い、前の使用者の設備や什器がそのまま残っている物件のことです。リフォーム物件のメリットは設備や銃器がそのまま残っているため、開業時の内装費用を抑えることができることが挙げられます。特に、前の使用者と同じ業態で開業する場合には、利用できる部分が多くなるでしょう。一方でデメリットは、すべてを思い通りの内装にしようとすると、スケルトン物件よりも費用がかさんでしまうということです。逆に、節約しようとして内装にあまり手をかけないと、前の店舗のイメージを引きずってしまうことになります。また、什器や設備がそのまま使えるとは言うものの、それらが古いものであった場合はメンテナンスや修理が必要かもしれません。そうすると、結果として新しいものを購入したほうが安上がりだったというのもよくあるケースです。リフォーム物件を探す際には、自分が使いたい什器や設備が残っているかということと、それらの什器や設備が故障していないかをしっかり調べることが大切です。
4-2-3.物件の広さによる違い
物件の面積によって内装費用の坪単価や総額は大きく異なるので注意が必要です。なぜなら、水道や電気など飲食店開業のために必要な設備工事の費用は、5坪の店舗であっても15坪の店舗であってもそれほど変わらないためです。そうすると、結果として狭い店舗の場合にはそれだけ坪単価としては高くなってしまうのです。その逆に、50坪のような広い店舗であってもやはり設備工事費用は同じなので、坪単価という観点から見ると広ければ広いほどそれだけお得になると言えるでしょう。ただし、広い店舗の際に気をつけるべきポイントとして、電気容量やガス容量が足りないと電気線やガス管を太くするための追加工事が必要になるということが挙げられます。
5.計画を立てたらいよいよ実行!完成までの流れは?
内装工事の計画が出来上がったら、いよいよ実行に移りましょう。まずは立地・物件の選定を行います。スケルトン物件がいいのか、あるいは居抜き物件がいいのかということはもちろんのこと、ロケーションなども考慮したうえで物件を選びましょう。物件が決まったら、施工業者の選定を行います。内装工事はデザイン会社と施工会社それぞれ別々に依頼する場合と、設計施工会社1社だけに依頼する場合があるので、自分に合ったほうを選びましょう。依頼する会社が決まったら、見積書を出してもらいます。この見積書で満足であれば契約となります。契約の際に注意するべきポイントは、追加工事や別途工事についての事項をよく確認せずに判を押さないことです。事前には想定していなかった追加工事の費用を後になって請求されたなど、契約内容の確認があいまいだったためにトラブルが起こるケースは多くあります。また、できれば竣工後のアフターフォローや保証期間が明記されているかどうかもチェックしておきましょう。契約が終わると最初の打ち合わせになります。契約内容やデザイン案について、改めてしっかりと確認しておきましょう。打ち合わせが済むといよいよ着工に入ります。工期中はできるだけ現場に足を運ぶのがおすすめです。というのは、いくらデザイン設計書を綿密に作っていても、素材の色や塗装の仕上がりなどはある程度現場で調整しなければならないことが多くあるからです。そのようなときに現場にいれば、自分の目で確認して指示を出すことができるでしょう。工事修了の際には竣工検査に立ち会います。床や壁、水道・ガス・電気といった設備面や什器の状態をしっかりチェックしましょう。もしも工事の不備や追加工事がある場合には、スケジュールや契約書を改めて確認する必要があります。なにも問題がなければサインをして引渡しの完了です。
6.大体のスケジュールが知りたい!工事にかかる期間はどれくらい?
業者に依頼する際には、あらかじめオープンまでのスケジュールを逆算しておくことがおすすめです。というのは、内装工事には複数の業者が関わるため、出店者の都合に合わせてプロジェクトを進められるとは限らないからです。一般的には、依頼してから3~4カ月後にオープンというのが期間の目安となります。工事そのものにかかる期間は1~2カ月程度ですが、その前にデザインを選んだり計画を立てたりすることにおよそ1カ月程度かかります。とは言うものの、実際の工事期間は物件の状態など条件によっても変わります。居抜き物件で以前の内装の多くを再利用する場合だと内装工事も早く済みますが、スケルトン物件だとゼロベースからの着工となるため少し期間を長めに見ておく必要があるでしょう。また、施工会社とデザイン会社それぞれに依頼するのか、あるいは施工設計会社に一括して依頼するのかも、工事期間を大きく左右するポイントです。
7.まずは無料相談から!わからないことは気軽にお問い合わせを
内装工事の計画を立てるためには、さまざまな項目について考える必要があります。どのようなデザインにするのかが開業後の売上げに大きく関わってくる重要な工程ですから、事前にしっかりと計画を立てておくことが大切です。また、内装工事には誰が発注者で誰が工事業者なのかが、あらかじめ指定されている場合もあります。テナントのオーナーが発注し業者も指定するA工事や、開業する人がテナントのオーナー指定の業者に依頼しなければならないB工事です。開業する人が自分で業者を選ぶことをC工事と言い、一般的に内装工事はC工事にあたります。ただし、設備工事が必要な場合にはA工事やB工事となるかもしれないので注意が必要です。内装工事には複雑なことが多いので、初めての経験でなにをどう考えたら良いかわからないという人もいるかもしれません。そのような場合には、多くの施工設計会社で無料相談を受け付けていますので、気軽に相談してみると良いでしょう。
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