6ステップで完結!小さな飲食店の開業準備の流れをわかりやすく解説
小さな飲食店の開業は、正しい手順を踏めば誰でも可能です。
しかし、どのような流れで開業準備をしたらいいのかわからず、準備に入れないという人も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、開業までの準備を次の6つのステップにわけてご紹介します。
- コンセプトを設計する
- 事業計画書を作成する
- 物件を探す
- 資金を調達する
- 店舗内外装設計・施工を実施する
- 各種申請や届出をする
加えて、小さな飲食店の開業準備にかかる期間や留意点などについても解説しますので、あわせて参考にしてください。また、小さな飲食店を魅力ある空間にするため、狭い空間を魅力的に変える店舗デザインの特徴についても合わせて読むと効果的です。
関連記事:小さなお店を開く!狭い空間を魅力的に変えるプロフェッショナル
目次
小さな飲食店を開業するまでにかかる期間は約9 カ月
小さな飲食店を開業するまでの準備期間は、業種や融資の使い方などによって若干異なります。
しかし、「開店予定日9カ月前から準備を始める」ことが目安になるでしょう。
「小さな飲食店を持とう」と決めてから開業までの主な流れは以下のとおりです。
- コンセプトを設計する
- 事業計画書を作成する
- 物件を探す
- 資金を調達する
- 店舗内外装設計・施工を実施する
- 各種申請や届出をする
コンセプトを設計して事業計画書を作成するのに3 カ月(①・②)、③~⑥を完結するのに6カ月程度時間をとるのが一般的です。
小さな飲食店の開業はスケジュール管理がポイント
9カ月という限られた時間で小さな飲食店を開業するには、下図のように何をいつまでに終わらせるか計画を立てることがポイントです。
10~15坪程度の小さな店舗の場合は、設計期間や工事期間が短く、複数の作業を同時進行させる傾向にあります。そのため、短いスケジュールの中でスムーズに進められることに留意しましょう。
特に、
- 物件契約
- フリーレント(入居後一定期間無料とする契約)
- 家賃発生日
- 内装工事で作る家具などの納期
など、細かな作業が重なる時期は、効率的にできるよう工夫が必要です。
設計デザインや施工業者に依頼するタイミングは?
店舗設計や内装工事は、ほとんどの場合施工業者が行います。
いつ施工業者に依頼したらいいかタイミングがわかりにくいかもしれませんが、基本的には「いつでもOK」です。
しかし、できるだけ早めに依頼することをおすすめします。
なぜなら、開業準備の初期から業者と打ち合わせを重ねることで、コンセプトやお店にかける想いなどを共有し、ともにゴールを目指しやすいからです。それが難しい場合は、遅くても物件を探す前に依頼しましょう。
店舗設計と施工を依頼する方法は
- 設計と施工を別業者に依頼する
- 設計と施工を同じ業者に依頼する
の2種類あります。
前者は「デザイン設計会社」と「施工会社」にそれぞれ依頼する方法で、後者は「設計施工一括会社」です。
いずれにしても、スムーズに計画を進められるよう時間に余裕を持って依頼するようにしましょう。
次の章から開業準備について、ステップごとに説明します。
開業準備①:コンセプトを設計する(9カ月前)
ここでいう「コンセプト」とは、「お店のテーマ」のことです。
コンセプトが決まると、それを軸に、ターゲットとするお客さんからお店の雰囲気、料理、料金、食器のデザインまで、ありとあらゆることを決めることが可能になります。コンセプトが非常に重要な存在であることがおわかりでしょう。
コンセプトは、「自分がお客さんに提供できること」と、「お客さんがお店に期待していること」をすり合わせて決定することがポイントです。
詳しいコンセプトの設計方法については、こちらの記事をご覧ください。
⇒『小さなお店のブランディング』
開業準備②:事業計画書を作成する(8カ月前)
「事業計画書」とは簡単にいうと、事業内容や今後の方針、見込んでいる収益などを明らかにする計画書のことです。
事業計画書は、事業について再確認するとともに、融資を受ける際、融資先に提出します。開業準備初期の段階で作成しましょう。
どのように作成するか、特別な決まりはありませんが
- 会社(事業内容、市場環境、ビジネスモデルなど)
- カネ(収支計画、資金計画など)
- モノ(商品計画、生産方法、仕入計画など)
- ヒト(販売計画、要員計画など
にわけて考えると、情報を整理しやすいでしょう。
事業計画書は、開業準備の早い段階で作成します。
そのため、後で修正するものと考え、現時点でわかっている情報をもとに作成するとうまくいきますよ。
詳しい事業計画書の作成方法については、こちらの記事をご覧ください。
⇒『小さなお店のブランド戦略』
時間に余裕があれば必要な資格を取得しておく
飲食店を開業するにあたり、次の資格を取得する必要があります。
- 食品衛生責任者:飲食店やスタッフの衛生管理・指導するための資格です。飲食店には必ず食品衛生責任者1名いることが義務付けられています。
- 防災管理者:収容人数が30人以上の店舗を経営する場合に必要となる資格です。
どちらの資格も、有効期限はありません。
また、どちらの資格も丸1日あれば取得可能ですが、資金調達や実店舗の準備が始まると忙しくなります。できれば、開業準備初期に取得しておくことをおすすめします。
開業準備③:物件を探す(6カ月前)
物件は、建物だけでなくエリアも含めて探すようにしましょう。
リアル店舗にとって、ターゲット層が利用しやすいかどうかは、店の売上に大きく影響します。
たとえイメージ通りの物件でも、アクセスしにくい場所であれば、ターゲットに利用してもらえる可能性は低くなります。
物件の下見は、できれば設計施工業者とともにするのがよいでしょう。
設計施工業者は、計画している内装がその物件でできるかどうかを、その場で判断してくれるからです。
「気に入らなかったら次を探して再度オープンすればいい」ということを簡単にできないのが、物件です。
- 本当にこの立地条件でいいのか?
- 構造はコンセプトに合っているか?
などを考慮しながら、慎重に選びましょう。
エリア&物件探しの具体的な方法については、以下の記事を参考にしてください。
⇒『狭小物件を借りる際の注意点とは?必要な初期費用を徹底解説』
開業準備④:資金を調達する(5カ月前)
開業するのに十分な資金を調達しましょう。
開業時に準備しておきたい資金の目安は、小さな飲食店なら900~1,200万円です。
内訳の目安を一覧にまとめました。
項目 | 費用(目安) |
物件取得費(スケルトン物件) | 200万円(家賃が月20万円の場合) |
内装・外装費 | 300万円~ |
厨房設備費 | 100万円~ |
什器費 | 50万円~ |
通信機器の設備費 | 10万円~ |
運転資金(想定売上×6カ月) | 240万円~ |
資金調達方法には、次の4種類あります。
- 自分の貯金
- 家族や知り合いから借りる
- 公的金融機関などから借入れる
- 補助金制度を利用する
ここでは、③と④について、もう少し詳しく説明します。
公的金融機関
飲食店開業資金の主な借入先として
- 日本政策金融公庫
- 地方の信用金庫または地方銀行
が挙げられます。
一般的に利用されているのが、日本政策金融公庫の「新創業融資制度」です。
新創業融資制度は、新規開業する人(または、開業して間もない人)を対象に、上限3,000万円まで融資します。
保証人や担保を必要とすることなく、また低金利というハードルの低さが、多くの人に利用されている理由でしょう。
新創業融資制度に申し込む際は、事業計画書と借入申込書が必要です。
詳細は、こちらで確認できます。
補助金制度
補助金制度は、国レベル・地方レベル・民間レベルと、おもに3つの種類があります。
規模の小さな飲食店を開業する際に利用できる、主な補助金制度は次のとおりです。
・小規模事業者持続化補助金:「販路開拓」など生産性向上を目指している小規模事業者に対して、最大200万円の補助金を支給する制度。
・創業補助金:正式名称は「地域創造的起業補助金」。地方自治体等が実施している、創業時にかかる経費に対する補助金を支給する制度です。創業補助金については、最寄りの市町村役場のホームページを調べたり、当該窓口に問い合わせたりして情報を収集しましょう。
・事業継承補助金:事業を引き継いだことによる新規事業の立ち上げや、業態転換する中小企業者を対象とした補助金制度です。募集期間が限られますので、タイミングを見逃さないようにしましょう。
開業準備⑤:店舗内外装設計・施工を実施する(3カ月前
開業の3カ月前になったら、店舗内外装設計・施工に入ります。
もし、施工業者に依頼する場合は、実店舗を準備する前に発注を済ませておきましょう。
参考までに、物件の施工にかかる期間は以下のとおりです。
- 店舗設計:1カ月
- 工事見積り:2週間
- 工事:3週間
実店舗の準備は、設計施工会社と打ち合わせを重ねながら進めていくことになるでしょう。
物件の施工について、詳しくは以下の記事が参考になります。
⇒小さな店舗のレイアウトの仕方とは?|狭小店舗のレイアウトのポイントを徹底解説
⇒小さい飲食店のデザインの工夫!流動客が惹きつけられる狭小店舗デザインの仕方を徹底解説
開業準備⑥:各種申請や届出をする(1カ月前)
- 税務署
- 保健所
- 警察署
- 消防署
の4カ所です。
申請/届出先 | 必要な申請/届出 |
税務署 | ・個人事業の開業届出(開業日から1カ月以内に申請) |
保健所 | ・食品営業許可申請 |
警察署 | ・深夜酒類提供飲食店営業開始届(午前0時以降もアルコール類を提供する店舗) |
消防署 | ・防火対象設備使用開始届 ・防火管理者選任届(収容人数が30人を超える店舗) ・火を使用する設備等の設置届(火災の発生が考えられる設備を設置している店舗) |
必要な申請/届出を確認し、届出漏れのないように手続きを済ませましょう。
まとめ
小さな飲食店を開業するまでの流れについてご紹介しました。
ここでもう一度、主な流れを見てみましょう。
- コンセプトを設計する
- 事業計画書を作成する
- 物件を探す
- 資金を調達する
- 店舗内外装設計・施工を実施する
- 各種申請や届出をする
小さな飲食店を無事に開業させるには、一つひとつの過程をていねいにすることが重要です。
できるだけ自分の力でやることも大切ですが、限界を感じたら専門家に相談するとよいでしょう。
私たちロベイションは、「こんな飲食店にしたい」という、ざっくりとしたアイディアから相談を受け付けています。
現在個別相談を実施しておりますので、何かありましたら気軽にお声がけください。
本記事で事前知識を身につけて、気持ちよく開業準備のスタートを切りましょう。
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