飲食店を開業したい!主な流れを時系列で解説
独立して飲食店を持つことは、自分の新たな可能性を追求する第一歩。飲食店に長年勤めた経験を活かして自分の開きたいけれど、開業してすぐに潰れてしまうことだけは避けたいですよね。
飲食店を成功させたいのなら、土台作りからしっかり行いましょう。短命で終わる飲食店は、勢いで開業し準備をしっかりと行わなかったケースが多いといわれています。限られた時間の中で開業準備をするには、土台作りから開業までに必要な作業を順序立てることが大切です。本記事では、飲食店の開業について、時系列で解説します。
目次
事業戦略・事業計画(6~8か月前)
飲食店を開業するにあたり、最初にすることはお店の土台作り。
飲食店の土台作りに必要なのは以下の4つです。
- コンセプト
- 顧客設定(ターゲット & ブランドパートナー)
- 事業戦略作成
- 事業計画作成
コンセプト
コンセプトとは簡単に言うと、お店の特徴を簡潔に伝えるテキストのことです。例えば、「仕事帰りに立ち寄るおふくろの味風居酒屋」というと、
- 主にサラリーマンを対象にしている
- 夕方は営業している
- 仕事帰りにリラックスできる
- アットホームな雰囲気の中お酒と家庭料理を楽しめる
- 手頃な値段でいろいろな料理を食べられる
というようなイメージを抱くのではないでしょうか。
このように、コンセプトはメッセージ性が非常に高く、短い言葉でお店の特徴を多く伝えることができます。作成するのは、頭の中に残りやすく、お店の特徴をイメージできるコンセプトが理想です。
したがって、コンセプトを作成するには、あなたの価値提供に関わる情報を棚卸しすることから始めます。
詳しいやり方は、こちらの記事を参考にしてください。
顧客設定(ターゲット&ブランドパートナー)
顧客設定とは、お店を利用してほしいお客さんを決めるということです。できるだけたくさんお客さんを入れたいと考えた場合、顧客を絞り込むことに抵抗を感じるかもしれません。けれども、そうしてしまうとお店のコンセプトがぼやけてしまい、かえって誰の心にも刺さらない、没個性的なお店になるおそれがあります。
例えば、食欲のある若い人を対象にした場合、
- ボリュームのあるメニュー
- 手ごろな値段
- 一人で訪れやすいカウンター席メインのレイアウト
というふうに、お店の方向性を特定の人向けにまとめることができます。
逆に、「とりあえず入ってくれればいい」とした場合はどうでしょうか。メニューも内装も全て当たり障りのないものとなってしまい、これといった特徴のない飲食店になる可能性があります。そうすると、お客さんに覚えてもらいづらくなり、結果的に人が入らない飲食店となってしまいます。
コンセプトを決めたら、必ず理想のお客さん像を設定しましょう。ブランドパートナーとは、優良顧客のこと。顧客を設定するなら、飲食店の繁盛に欠かせないブランドパートナーをイメージしなければなりません。顧客の設定方法については、以下の記事を参考にしてください。
事業戦略作成
事業戦略とは簡単にいうと、お店のゴールを実現するための手法を策定することです。飲食店にとって、戦略がないまま営業することは考えられません。なぜなら、飲食店には「売上を上げる」「お客さんに愛されるお店を目指す」など、達成するゴールが必ずあるからです。
戦略を策定するには、ゴールの設定から始めます。その次に、現状を分析してゴールを達成するために足りないものをあぶり出します(例えば、目標の売上を達成するのに十分な顧客数を確保できていないなど)。これが課題となるわけですが、この課題を解消する手段を考えます。
事業計画作成
事業計画書とは、事業立ち上げにかかわる情報を盛り込んだ書類のことです。飲食店の未来図といってもよいでしょう。
事業計画書には、
- 事業を立ち上げた理由
- 事業内容
- 事業戦略
- 開業に必要な費用
- 資金調達方法
- 収益計画
といった情報を盛り込みます。
事業計画書を作成することで、お店に関する情報を整理できるというメリットがあります。また、融資を受ける際は、事業計画書の提出が求められますので、必ず作成するようにしましょう。
物件を探す&確定する(3~6か月前)
事業計画書の作成が終わったら、物件探しに入ります。納得のいくものが見つかるまでに時間がかかると予想されます。できるだけ早い段階から行動することをおすすめします。しかし、事業計画も考えずに物件探しから始めることは避けましょう。物件を選ぶための判断基準がぶれやすくなります。
物件を選ぶ際は、
- 立地条件
- 広さ
- 費用
などが判断材料になります。しかし、必ず「お客さんにとって通いやすい場所なのか」「コンセプトを実現できるのに十分な広さがあるのか」というふうに、顧客やコンセプトの視点から検討する必要があります。
物件を決めたら、物件を所有している不動産に申し込みをします。問題がなければ契約へと進みます。その際、敷金や礼金など物件を借りるために必要な費用が発生します。まとまったお金を準備することも忘れないようにしましょう。
融資の申し込みを始める(4か月前):自己資金のみの場合は4へ
出店する飲食店の規模に関わらず、初期費用が必要です。小さなお店でも1,000万円程度の費用が必要と考えると良いでしょう。この自己資金には、家賃をはじめ内装工事費用や広告費なども含まれています。自己資金でカバーできるのなら別ですが、不足している分は借金をするなどして補う必要があるでしょう。
自己資金以外の資金調達方法には、
- 身内からお金を借りる
- 金融機関から融資を受ける
- 日本政策金融公庫の融資制度を利用する
- 自治体や国が実施している補助金制度を利用する
- クラウドファンディングを実施して希望者から出資を募る
などが挙げられます。
また、金融機関から融資を受ける場合は、申込みから審査結果を受けるまでに時間がかかりますので、早めに準備を進めましょう。補助金制度については、各自治体によって異なります。最寄りの地方自治体のホームページや、J-net21が公開している「支援情報ヘッドライン」などを使うと、情報を収集しやすいですよ。
上記に挙げた資金調達方法の中で一番無難なのは、日本政策金融公庫の融資制度を利用することです。例えば、これから事業を始める人向けの新創業融資制度は、審査が通りやすいうえ、低金利など金融機関よりも融資を受けるハードルが低い点がおすすめの理由です。
店舗をつくる(3~4か月前)
資金調達のめどがついたら、店舗の内装づくりに入ります。ただ、店舗の内装づくりは、内装デザインや工事を依頼する会社と一緒に取り組みます。
その為、依頼する会社によって進め方がかわりますが、一般的な店舗の内装づくりの順番は、
- 設計デザイン
- 見積り
- 工事
のステップで進むのが一般的です。
設計デザイン
イメージしている内装デザインを、デザイン担当者に伝えます。
ここをいい加減にしてしまうと、デザイン担当者との間でイメージに対するギャップが生まれ、「こんなはずではなかった」というようなものに仕上がる可能性があるので注意が必要です。
工事までに担当者と打ち合わせを何度か重ねてアイデアをすり合わせていくと思いますが、その際できるだけ五感を使って伝える工夫をしましょう。
具体的には、
- 言葉で伝える
- 文章で伝える
- 画像で伝える
- コラージュを作成して伝える
などです。
見積り
デザインがまとまったら、依頼先の会社に見積もりを作成してもらいます。
店舗の内装づくりに必要な費用は、大きく分けて
- デザイン設計費用
- 内装工事費
の2種類です。
飲食店のデザイン設計費用の相場は、50~100万円程度といわれています。また、内装工事費の相場は、1坪あたり20~100万円程度です。振り幅があるのは、内装に使用する素材や工程数などによって金額が変動するためです。
見積もりを依頼する際は、予算と力を入れたい箇所などの要望を依頼先に伝えましょう。なお、見積もりは1社のみという決まりはありません。依頼先を絞り込むことができない場合は、複数社に見積もりの作成を依頼して(相見積もり)、見積内容を比較・検討しましょう。
工事
内装工事が始まったら、定期的に現場を訪れて、工事の状況を確認しましょう。
スケジュール通りにいっているのかどうかを把握します。しかし、それだけではありません。イメージが具現化されているかどうかを確認するのも重要な目的の一つです。もし食い違いが見られるようであれば、担当者とその場で話し合い、早い段階で修正が可能になるでしょう。
しかし、自分一人で判断したり、図面と照らし合わせて確認するのは簡単なことではありません。工事関係者とは切り離された関係の設計者やデザイナーに協力してもらうのがベストです。
集客 & 運営(1.5~2か月前)
開店する2か月ほど前になったら、集客をはじめます。また、スタッフを雇う予定であるのなら、求人の準備も並行して進めましょう。
集客
ネット集客で欠かせないのが、TwitterやInstagramといったSNSです。店内の様子や提供している料理など、飲食店は視覚的に訴えやすい要素が多く、SNSとの相性は抜群です。また、ほとんどのSNSは、無料で開設できます。開設したら、開店日の告知をはじめお店の紹介、クーポン発行のお知らせなど、こまめに情報を更新しましょう。
SNSはどちらかというと、
- お店の存在を知らせる
- ファンを増やす
- オーナーの人柄を伝える
ための情報発信に向いています。
また、お店の利用をダイレクトに促したい場合は、インターネット広告やデジタルサイネージ、飲食店専門ポータルサイトの利用も検討しましょう。
求人
求人を募集するには、求人サイトに募集要項を掲載するのが基本です。ただし、単に掲載するだけでは良い人材を見つけることは難しいでしょう。他の飲食店も同じように良い人材を求めているというのが理由です。
事前に以下のような項目を明確にしたうえで、募集をかけましょう。
- 雇いたいスタッフ像
- 雇用形態
- 勤務時間
- 経験の有無
- 人件費
募集方法は、求人サイトを利用する他、
- 身内や知り合いに声をかける
- SNSを利用する
- お店のホームページや店舗で募集する
といった方法があります。
いくつかの方法を組み合わせて、幅広く募集することがポイントです。
まとめ
飲食店の開業の流れについて、時系列でご紹介しました。
ご紹介した流れは、以下のとおりです。
- 事業戦略・事業計画(6~8か月前)
- 物件を探す&確定する(3~6か月前)
- 融資の申し込みを始める(4か月前):自己資金のみの場合は4へ
- 店舗をつくる(3~4か月前)
- 集客 & 運営(1.5~2か月前)
最初に開業予定日と開業の準備にかけられる時間を決め、そこから逆算して大まかなスケジュールを立てていくとよいでしょう。
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