店舗のコンセプトを決める正しい方法と知識
店舗のコンセプトは2種類あります。「お客様に提供するサービスや商品のコンセプト」と「空間のコンセプト」です。
このつのコンセプトのうち開業者が考えるべきコンセプトは、「サービスを通してお客様に提供する価値のコンセプト」です。
まずは、あなたが提供するサービスや商品について深く理解しましょう。その結果、いいコンセプトを作る事ができます。いいコンセプトは、価値とコンセプトの間にギャップがありません。そのため、ターゲット層のお客さんに伝わりやすいコンセプトとなります。
この記事では、コンセプトを決める理由からコンセプトを決める正しい方法と知識について解説いたします。
1.コンセプト先行で進むお店づくりの背景
開業者を対象としたセミナーで良く聞くのが、「あなたのお店のコンセプトはなんですか?」と言う質問です。
多くの方がこれを聞くと、「癒し空間◯◯」や「都会のオアシス◯◯」といった回答になります。もちろん何も分からない段階でコンセプトをひねり出しているため、印象や感覚でコンセプトを決めているかと思います。
間違ったコンセプトづくりを進めてしまう背景について少しお話します。
1-1.2種類の店舗コンセプトの混同
お店のコンセプトと聞くと、多くの方が自社サービスや商品に対するコンセプトではなく、店舗の雰囲気を伝える手段としてのみ認識しています。しかし、開業・出店する際に決めるべきコンセプトは2種類あります。
考えるべきコンセプトの種類
1.お客様に提供するサービスや商品コンセプト。
2.1のコンセプトと一貫性ある空間のコンセプト。
ポイントは、1と2が混ざって1つのコンセプトとして使われているケースが多い事です。
1のコンセプトは、開業者自身が考えて導きだす言葉です。しかし、2のコンセプトは、1のコンセプトを元に設計者やデザイナーなどの店舗空間を計画する人と考えるコンセプトとなります。
コンセプトとは、一貫性ある情報を利用者にわかりやすく伝える為に大切な言葉です。
- お店の外観や内装
- ロゴ
- 名刺やショップカード
- ホームページ
- チラシ
など、コンセプトは様々な場所で活用できます。
あなたの店舗づくりに関わる会社・人に対して方向性を示すことにも活用できます。
その為、「絶対に必要」と言う事ではありませんがより効果的にお店を運営するためには必要不可欠な要素です。
また、お店づくりは複数の会社と協力しながら進めるため、一貫した方向性を決める事は理想の店舗づくりにとても有効です。
また、分かりやすく伝わりやすいコンセプトは、利用者に対してとても親切なお店となります。
1-2.2種類の店舗コンセプトについて
ここまで解説した2種類のコンセプトはこの様な定義が出来ます。
1.お客さんに提供するサービス・商品コンセプト
提供するサービスや商品が、利用者のどんな「悩み・不満を解消するサービスなのか?」、「より良い未来を実現してくれるのか?」分かりやすく伝える言葉
2.空間コンセプト
商品コンセプトから明確になった利用者に対して、「ここでしか体験できない」とか、「ここでしか味わえない」といった、支払う価格を超える充実感や満足感を感じてもらえる空間づくりを実現する為の指針
コンセプトづくりでは、「お客様に提供するサービスや商品のコンセプト」と、「空間のコンセプト」を分けて考える事が大切です。
1-3.店舗コンセプトについて実際に考えてみよう!
それでは、実際に例題を用いて考えてみましょう。
例えば…
業態:リラクゼーション系マッサージ
特徴:筋肉の緊張を和らげる事で体をほぐす事が目的。特殊な技術でゴリゴリな施術をするのではない。香りや音楽で五感から癒す。頭痛持ちの方や、デスクワーカーの肩こりから来る痛みを改善する事が最も得意。
価格帯:50分 6,500円〜
悪いケース | 良いケース |
---|---|
コンセプト ⇒ 疲れを取りたい方が毎日通える身近な癒し空間 | ・お客様に提供するサービスや商品のコンセプト ⇒ デスクワーカーの人が抱える慢性の頭痛を解消し、毎日の仕事を楽しい日々に変える事 ・空間のコンセプト ⇒ デスクワーカーの頭痛といった専門性に対する「権威性」と、普段通いできる「気軽感」を感じさせるデザイン |
この2つのケースを比べると、コンセプトの違いに気が付きますよね。
サービス・商品についてのコンセプトは、お客様がサービスを利用することでどのような感情へと変わる事が出来るのかイメージしやすい言葉で伝えます。
一方、空間コンセプトからは、サービスの内容をダイレクトにイメージすることは難しく、お店の内装や空間のデザインイメージを共有出来る事がわかります。
この2つのコンセプトをはっきり分けることで、コンセプトづくりはすっと簡単になります。
1-2.店舗イメージだけが先攻してしまう打合せの実態
コンセプトについて、デザイナーや施工会社の担当者からよく聞かれるはずです。その結果、急いでコンセプトを決めようとしてしまいます。
多くの方がどうしたらいいのか悩んでいることだと思います。
実は、ここに大きな問題が存在しています。
デザイナーや施工会社の担当者でも、この2つのコンセプトを混同して考えている人がいます。
その為、イメージしやすいデザインについてのコンセプトが先攻してしまいます。
そして、最も重要なコンセプトづくりが疎かになってしまいます。
「お客様に提供するサービスや商品のコンセプト」は、事業計画やサービス内容を詳しく理解している出店者が考えて、十分に検証する事が重要です。
一方で空間コンセプトの場合はデザイナーと共に考えます。デザイナーや設計者の力を借りて空間のコンセプトについてしっかり検証しましょう。
2.正しい店舗コンセプトの作り方
ここまで読んで頂き、2つのコンセプトを分ける大切さが分かって頂けたはずです。ここからは、実際に「提供するサービスや商品のコンセプト」と「空間のコンセプト」の作り方をお話します。
2-1.お客様に提供するサービスや商品のコンセプト
提供するサービスや商品についてのコンセプトは、事業を通して何をしたいのか。という事業目的と通じる事もあります。その為、今まで以上に自社のサービスや商品と向合う事になります。
サービスや商品について考える際は、2つのポイントについて考えましょう。
- 提供するサービスによって、利用者が解消出来る事
- 解消したいと考えている人物について
この2つポイントについて詳しく考える事で、お客様に提供するサービスや商品のコンセプトづくりに活かす事が出来ます。
2-1-1.提供するサービスによって、利用者が解消出来る事
あなたのお店のサービスや商品を利用する人は、どの様な感情や想いを抱いているのでしょうか。
お店のサービスや商品の先に居るのは、必ず利用者です。その利用者が、どのような感情や想いを解消したいと考え、あなたのお店を選ぶ事になるのか、十分に検証しましょう。
- 提供するサービスや商品の先に居る利用者を考える
- 利用者は、サービスや商品のどこに魅力を感じ(解消出来ると感じ)利用するのか
2-1-2.解消したいと考えている人物について
あなたのサービス・商品を利用する人は、
- どのような環境に居る人でしょうか?
- 毎日どんな生活を送っているでしょうか?
- どのような感情を抱く事が多いでしょうか?
- どんな時にあなたのお店を利用したいと思うのでしょうか?
解消したいと考えている人物について詳しく検証してみましょう。
利用者の生活や行動、感情なども含めて、利用するに至った理由を考えましょう。
2-2.空間のコンセプト
お客様に提供するサービスや商品のコンセプトについて考えることが出来れば、ここからは設計者やデザイナーの力を借りて検証する事も可能です。一人で悩まず、借りれる力は借りて良いコンセプトをつくりましょう。
2-2-1.サービスや商品のコンセプトを元に利用者の感情を考える
2-1-2でお話した様に、「何かを解消したいと考えている人物」について検証した内容をもとに考えます。その人はどのような感情を抱いてお店に来るのでしょうか。「特別な時間」という想いを抱いているのか。または、「普段使いの落着く場所」として利用するのか。来店する時の感情や想いを考えて空間のコンセプトを考えましょう。
2-2-2.利用者の感情を最も満足させる為に必要な事を考える
ここまでで利用者について深く考えた事だと思います。その利用者の感情や行動を、どの様にすれば満足してもらえるのか。または、どうしたら更に満たされる空間を提供出来るのか。を考えましょう。
3.まとめ
最後まで読んで頂きありがとうございます。この記事を読んで、コンセプトを決める正しい方法について知って頂けたらうれしいです。
コンセプトは、見た目のみので作られた「ハリボテのお城」ではありません。
利用者に想いを伝える為の手紙となります。利用者の事をイメージし、自社のサービスや商品に向き合って作られたコンセプトは、想いが込められた言葉となり、利用者に伝わる事でしょう。
店舗のコンセプトを決める正しい方法を知る事で、提供するサービスや商品とのギャップが無く、お客様に伝わりやすいコンセプトが作れます。
私たちは、顧客リサーチから出店者の方と一緒にお店づくりを行うため、ターゲット層の顧客に最適なコンセプト作りからおしゃれなお店を作ることができます。
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